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日系企業で働く外国人のお知り合いがいる方は聞いた事ありませんか?
「日本の仕事の仕方って独自だよね」と。
私もこれまで外国人と一緒に働いてきましたが、日本人が圧倒的に多い職場ではその独自性に気づきませんでした。
ところが、職場の半数以上が外国人となった今、なんとなくその独自性が見えてきました。
このページでは、世界から見ると戸惑ってしまう日本の独自の仕事の仕方について
私なりの考察をご紹介してみたいと思います。

日本人と外国人の仕事の仕方の違い

長いものに巻かれる。
これは世界共通と断言してしまって良いでしょう(笑)
海外でも上司が言うことは絶対です。
一方で、他国と比べた時に日本独自で外国人からすると戸惑ってしまうところは
私が気づいた限りでは以下があります。

  1. 空気を必要以上に読んで、分からないことを分からないままにしてしまう
  2. 自分の意見を持たない
  3. リーダーなのに決断しない(部下まかせ)
  4. 丁寧だが効率が悪い
  5. ITリテラシーが低い

1.空気読みすぎで分からないことを分からないままにする

外国、日本、違い、働き方
空気を読むのは他国の人間も勿論しますが、こと日本人は得意ですよね。
相手を思いやる気持ちや謙虚さは、他国からも大絶賛される本当に素晴らしい日本人の心です。
ですが、これを職場で発揮してしまうと、
「さっきの話は正直よく理解できなかったけど、周りの人は納得していたし流れを止めるのも嫌だから分かったフリをしておこう」
「なんでこれやるのか良く分からないけど、やれと言われたからやる」
と、良からぬ方向に行く時があります。

でもこれは、単純に当事者意識の欠落です。
チームの全員が理解しなければいけない事を理解せずそのままにした結果、どうなるでしょうか?
影響を受けるのは自分だけですか?
上司からすると、あなたなら出来ると判断して頼んだ仕事です。
真意やこの先の方向性を理解せずにただただ作業として対応した結果、どんな事態になるでしょうか?

外国人たちはこういった理解できなかった場合などでは、会議の途中で流れを止めてでも質問して自分の疑問をその場でクリアにする傾向が強いです。
勿論、ある程度は空気を読み、まずは最後まで聞いてみようという人も多いです。(特にアジア人の場合)ですが、タイミングを見て質問をし、なるべく内容理解に努めようとする傾向があります。

頼まれた作業に関しても、「そんな事も言われないと分からないのか?」と言われるんじゃないかと怖がるのではなく、なぜこれをやるのか、疑問に思えば率直に聞き、自分の中でクリアにしてから作業に入ります。
聞く事は恥ではないのです。分からないままにしておく事の方がマイナス評価になります
自分が納得していないまま作業に入れば、成果物のクオリティも低くなるのは当たり前ですよね。これではせっかく時間をかけてやったのに、残念ながら評価はされません。

2. 自分の意見を持たない

外国、日本、違い、働き方これは想像つく人も多いのではないでしょうか?
例えば会議中に「どう思う?」って振られた時、

「いきなり言われても。。」(正解じゃなくて、あなたの意見を聞いてるだけなのに。。)
「●●チーム、●●さんがOKであれば問題ないです」(あなたは?)
「何かあれば後ほど改めて言いますね」(話聞いてた?)

とか、

YES/NOを聞いてるだけなのに、

「この部分はこーだけど、あっちはあーだし。。。うーん。。。」(え?どうした?)
「●●さん、どう思います?」(違う人にふったー!)
「因みにあれってどうなった?」(答えず質問返し)

とか、よく見かけませんか?
余談ですが、私の外国人の知り合いが過去に日本のとある超大手企業のコンサルを担当していて、その時も複数の役員たちに対して、「やる or やらない」の二択の決断を迫ったそうなんですが、誰一人としてうんともすんとも言わず、なんの決断もせず。。。
もはや他の選択肢はなく、どちらか選ばないといけない状態だし、正直、会社を揺るがすほどの決断でもないにも関わらず、待てど暮らせど回答は貰えず。
アホらしくなった彼は、そのまま6ヶ月間のお休みを取り旅行を楽しんだ様です。
因みに結局、回答は貰えずじまいだった模様。

大手の役員が決断しなければいけない事なのでシンプルな事ではないのかもしれません。
もしくは、彼の提案がイマイチだったという可能性も全くないとは言えません。
ただ、それまで数年に渡って担当していたので、相性が悪ければとっくの昔に切られていたでしょう。
その場にいたわけではないので、憶測でしかありませんが、

責任を取りたくない。
間違いたくない。

という、事なかれ思想がまんまと出てしまった例じゃないかと思います。

一方、役員レベルではないにせよ、チームメンバーとして一緒に働く外国人を見ていて感じたのは、正解か不正解かではなく、自分の意見を発言するのは当たり前だし、もっとより良くする為のアイディアを出し合うのも普通のこと。
勿論、そういった日々の1つ1つの行動が自己アピール(昇給に対しても素直且つストレート)につながっています。

因みに、自分の意見を持たない人は組織から「どうでもいい人」扱いされます。
そういった意味でも自分の考えを持ち、それを発言する事に抵抗がない様にする事は、
外国人と一緒に働く環境下ではマストのスキルですよ。

3. リーダーなのに決断しない(部下まかせ)

外国、日本、違い、働き方会社の評価基準や文化、その方の仕事の仕方によっては当てはまりませんが、
これ、外国人上司と以前この話をしていて、本当にそうだなと私は思った事です。
今の部署に異動してくる前の部署での上司は、割とザ・日本人な上司だったのですが、
私にもチームを持つよう助言してくれた時に「もうそろそろ仕事は部下に任せてゆったりしたくない?」と発言したんです。

部下には部下の、上司には上司の仕事があって、上にいけば現場作業は減る分、抽象度の高い業務遂行を求められる。
そして、どんなにボトムアップ文化な会社でも、リーダーの仕事はチームを牽引していく事です。部下まかせでゆっくりできる事はないはずなんですよね。

この話を今の外国人上司としていた時に、彼なんかはもはや怒ってまして(笑)、

「言いたくないけど、日本人の中に時々勘違いしている人がいる。
昇進したいのは現場作業をしたくないから。上司になれば仕事が減る、楽になると思ってる人がいるけど、
とんでもない!リーダーこそ他の人はやらない事を形にして結果を出していかなきゃいけないし、チームを牽引しないといけない。」

これ、本当にそうだと思うんですよ。
リーダーって今までと同じ事やってても評価されないし、チームや所属部署にとってメリットがあるという視座でもって
結果を出して行かないといけないし、そんなゆったりなんてしてられないんですよ。
なのに、部下にやらせておけばいいから。は違います。
日本では難しいですが、そんな事やってたら海外では
「あなたクビ。午前中のうちにデスク片付けて午後には会社から出て行ってください」と言われますよ。

4. 丁寧だが効率が悪い

外国、日本、違い、働き方

これ、私自身もやりすぎてしまう傾向があるので日々反省なんですが、
おもてなしマインドたっぷりな私たちは、結果的に効率が悪くなったり、
生産性が低くなったりする傾向有りなので、要注意です。

・そこまでやらなくてもいい事をやりすぎている
・自分の担当ではないけど知っているからと、良かれと思ってやりすぎている
・今じゃなくてよい事を今やってしまっている
・忙しすぎてとりあえず業務を捌く事を優先しがち(全体を俯瞰して工数減らす視点が抜けがち)

これらに邪魔されない人は、自分がすべき事・対応すべき範囲内でちゃんと結果を出すことができているはずです。
職場でよくあるパターンなんですが、同じ事を日本人チーム、外国人チームでやらなければいけない時、日本人チームはあれこれ考えて準備万端にする傾向があるので、初動が遅れていることが時々あります。

また、例えば自分のチーム以外が原因でトラブルが起こったのに、
クライアントや上司からそのトラブルを指摘された時、日本人チームも自分のせいではない事は伝えても、そのあとどこか変に責任感を感じている雰囲気が出ると言いますか、
自分たちに何かできるだろうかというホスピタリティが雰囲気で出てしまうといいますか。
「自分たちのせいじゃないから、知らない」というスタンスを出せてない時があります。

一方、外国人チームは「それは我々のせいではないからしょうがないよね。」と顔は笑っていてもしっかりとつっぱねます。
責任を取るべき時はしっかり取るが、そうじゃなければ頼まれない限り介入しません。

「自分たちのせいではない」事は共通しているんですが、その後取る態度によって日本人チームは自分たちのポジショニングを下げてしまう事があるなぁと感じます。
会社の文化によっては協力姿勢がない、自分勝手なチームだと判断されることもあるでしょうし
絶対的に正解という訳ではないんですが、外国人との違いとして感じた事です。

因みに「効率」に関しては他にもネタがありまして(笑)、こちらでご紹介していますので
よかったら参考にしてみてください。

5. ITリテラシーが低い

外国、日本、違い、働き方これはもう教育が原因という部分が大いにあるんですが、特に私は今はシステム開発部署に勤務しているので、肌身に感じます。日本の開発市場では開発者が圧倒的に不足しており、その結果、中途半端な開発者でも高めの給料で採用され、費用対効果が悪いという話も聞きます。
また、世界的に見ても開発者の給料が日本は安く、技術的にも後進なので外国人の開発者の中には思っていたのと違ったと日本を去っていく人たちもいます。

まあ、開発業界じゃなくともインターネット後進国の日本は世界と比較してITリテラシーが高いわけがありません。その結果、職場でパソコンを使うサラリーマンの仕事が外国人と比較して効率がいいとは言えないわけです。単純に職場で見てて、パソコン作業に困っている人が外国人と比べて日本人の方が多いように感じます。

まとめ

いかがでしたか?
あくまでも個人的な見解ではありますが、私の個人的な経験だけではなく、私の周りの外国人の話も聞くと、やっぱり日本の仕事の仕方ってグローバル標準ではないんだなと私は感じています。
ただ、どちらが良い悪いという話ではなく、違いがあるのは当たり前。
その上で、外国人から取り入れられるところは賢く取り入れさせて頂き、相互理解していきましょうというお話です。

遅れをとっているとはいえ、日本もこれから更にグローバル化が進んでいくフェーズです。
仕事に対してのスタンスや仕方が違う事で、国籍同士の間に溝が出来てしまうことも残念ながら見てきました。
相互理解がマストな会社環境では、仕事の仕方が他国と比べてどう違うのか知っておくだけでも
随分と仕事のしやすさが変わるはずです。今回の内容が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。